「業者さんから説明を受けたけど、ほんとにその塗料でいいのか不安」
「塗料はたくさん種類があって、結局どの塗料がいいのかわからない」
そう思っている方は多いのではないでしょうか。
外壁用塗料は外壁の耐用年数や建物の外観に直接影響するため、慎重に選ぶ必要があります。
今回は外壁用塗料に関して以下3つのポイントをご紹介していきます。
- 外壁用「塗料」とは?
- 塗料の種類と特徴
- 塗料を選ぶポイント
自身に最適な塗料を選ぶためにも、ぜひ最後まで熟読ください。
外壁用「塗料」とは
外壁塗装で使用される塗料には、以下4つの成分が含まれています。
- 添加剤
- 顔料
- 合成樹脂
- 溶剤
それぞれの成分を理解することで、建物の外壁に最適な塗料を自身で判断できます。
添加剤
塗料の性能を高めるために配合される成分であり、添加剤の例として以下が挙げられます。
機能 | 効果 |
艶消し防止 | 塗料の光沢を抑制する |
液ダレ防止 | 塗装時の流れ落ちを防止する |
色分かれ防止剤 | 色分かれ防止剤 |
防腐剤 | 塗膜の腐食などを防止する |
皮張り防止剤 | 貯蔵時の表面に発生する皮を防止する |
上記のように、配合する添加剤の種類成分によって役割が異なります。
顔料
色付けするために配合される成分であり、大きく以下の2つに分けられます。
顔料の種類 | 特徴 |
エナメル顔料 | 色の付いた顔料。 耐熱性、防錆性など、 顔料ごとにさまざまな性能を持つ。 |
クリヤー顔料 | 無色透明。 外観をそこなわずに塗装できる。 |
そのほか、錆止め顔料や光沢系顔料など、特殊な機能を持つ顔料もあります。
合成樹脂
塗料の主成分であり、塗料の品質や耐久性に大きく関わります。
そのため塗料を選ぶ際は、合成樹脂の種類によって性能や耐用年数などを判断するのが一般的です。
主な合成樹脂の種類として、以下の4つ種類が挙げられます。
- アクリル樹脂
- ウレタン樹脂
- シリコン樹脂
- フッ素
そのほか、合成樹脂を含まない、ラジカル塗料や無機系塗料などもあります。
溶剤
塗料を薄めるときに使用します。水で薄めたものが水性系,溶剤で薄めたものが溶剤系です。
塗料の種類と特徴
以下のように、塗料は7種類あります。
- アクリル樹脂塗料
- ウレタン樹脂塗料
- シリコン樹脂塗料
- フッ素樹脂塗料
- ラジカル塗料
- セラミック(無機)塗料
- 光触媒塗料
耐久年数や特徴はさまざまです。
最近では塗料そのものに環境への対策として、機能がついている塗料も珍しくありません。
以下では、特徴・耐用年数・単価相場をそれぞれ説明していきます。
アクリル樹脂塗料
耐用年数 | 3~8年 |
単価相場 | 1,000〜1,800円/㎡ |
特徴 | 最も安価で重ね塗りしやすい |
「アクリル樹脂塗料」は、塗料の主成分がアクリル樹脂の塗料です。
光沢があり発色しやすいため、色をくっきり見せられるという特徴があります。
また、カラーバリエーションも豊富であり、プラスチックやボールペン、調理家電や自動車などにも、使用されています。
ただし雨風や紫外線に弱く、耐久年数が短いため、頻繁に塗り直しが必要です。
塗り替えを前提として使用されるケースが多く、近年では、新築住宅などではほとんど使用されません。
ウレタン樹脂塗料
耐用年数 | 8~10年 |
単価相場 | 1,700〜2,500円/㎡ |
特徴 | 密着性が高い |
「ウレタン樹脂塗料」は塗料の主成分がウレタン樹脂の塗料です。
密着性に優れており、工場など汚染されやすい地域・ギター・食器・家具など、光沢があり汚れをつきにくくするものに使用されています。
比較的安価でありながら、防水性と耐水性にすぐれており、耐用年数は長めです。
しかし、紫外線に弱いため変色しやすく、また水と反応しやすいため、塗装時の湿度が極端に高いと性能が落ちてしまうことがあります。
シリコン樹脂塗料
耐用年数 | 10~15年 |
単価相場 | 2,300〜3,500円/㎡ |
特徴 | 耐久性と耐候性に優れている |
「シリコン樹脂塗料」は塗料の主成分がシリコン樹脂の塗料のことを指します。
アクリル樹脂塗料やウレタン樹脂塗料に比べて、耐久性と耐候性、仕上がりのよさにすぐれた上質な塗料です。
塗装後も汚れが付着しにくいため、塗り直しを頻繁に行わなくて良いというメリットがあります。
アクリル樹脂塗料やウレタン樹脂塗料よりも価格は高いですが、耐用年数は長めです。
機能とのバランスが良いことから外壁塗装に用いられる塗料として、現在人気があります。
フッ素樹脂塗料
耐用年数 | 15〜20年 |
単価相場 | 3,500〜5,000円/㎡ |
特徴 | 耐久性と耐候性に優れている |
「フッ素樹脂塗料」は塗料の主成分がフッ素樹脂の塗料です。のことを指します。
他の樹脂と比べて、もっとも耐久性・耐候性に優れた塗料です。
さらに耐摩耗性も優れていて、光沢が長持ちします。
しかし一般住宅の塗料としては価格が高いことがデメリットです。
他の樹脂と比べて高価ですが、耐用年数は長く、長期的に外壁を保護してくれます。
ラジカル塗料
耐用年数 | 8〜16年 |
単価相場 | 2,200〜4,000円/㎡ |
特徴 | 塗料の劣化因子であるラジカルの発生を抑える |
ラジカル塗料は、ラジカル制御型の酸化チタンを配合した塗料のことを指します。
チョーキング現象(塗装面に粉状のものが付着する劣化症状)を抑えられ、耐候性を高めることにもつながります。
しかし、新しいタイプの塗料のため商品や実績が少ないので、使用したい場合は業者と相談してみましょう。
セラミック(無機)塗料
耐用年数 | 15〜20年 |
単価相場 | 2,300〜4,500円/㎡ |
特徴 | 無機質である砂や砂利、セラミックなどが配合されている |
ベースとなる合成樹脂にセラミックやケイ素など、無機物の成分が入っている塗料のことを指します。
低汚染性・断熱性・遮熱性に優れており、メリットの多い塗料です。
しかし、他の塗料よりも材料費や施工費が高く、硬度があるのでひび割れが起きやすい特徴もあります。
塗料の耐久性は、セラミックではなく樹脂に左右されますが、セラミック自体はあまり紫外線や雨の影響を受けず、耐用年数は長期的に外壁を保護します。
光触媒塗料
耐用年数 | 10〜20年 |
単価相場 | 3,800~5,500円/㎡ |
特徴 | セルフクリーニング機能を持つ |
光触媒塗料は、二酸化チタンが含まれている塗料です。
雨や太陽の光など、自然の力で綺麗にしてくれる効果があります。
紫外線を浴びることでホコリなどの吸着を抑え、雨によって汚れは洗い流されるため、汚れがつきにくくなります。
また、カビや藻が生えにくく、空気中の汚染物質を浄化する作用も期待できます。
塗装費用がかかり、下地によっては塗装できない場合もあるのでよく業者と相談しましょう。
塗料を選ぶポイント
塗料を選ぶポイントとして、以下2つが挙げられます。
- 機能性を選ぶ
- 費用やメンテナンス期間を選ぶ
機能性を選ぶ
以下のように、塗料の機能はさまざまです。
熱性 | 断熱性 | 低汚染性 | 防カビ性 | 耐候性 |
住まいの環境を踏まえて、外壁にどのような機能を付与したいかを考えた上で、機能に優れた塗料を選びましょう。
例えば、
日照りの強い地域であれば耐熱性、耐候性のある塗料を選ぶことで、外壁の寿命を長くさせられます。
また、湿気の多くカビやコケが繁殖しやすい地域なら、防カビ性のある塗料が最適です。
建物のある地域や気候によって、塗料の機能や耐用年数も大きく左右されるため、適した塗料選びは欠かせません。
費用、メンテナンス期間を選ぶ
費用、メンテナンス期間から塗料を選ぶ方法もあります。
例えば、
「お家の外壁をとにかく長く持たせたい」
「次回の塗り替えまでの期間を長くしたい」
という方には、
少し高くても耐用年数が10年以上と長い、フッ素塗料やセラミック(無機)塗料がおすすめです。
フッ素塗料やセラミック(無機)塗料は、塗料自体の値段が高いため、初期費用が高くなることもありますが、メンテナンス期間やランニングコストを考えると結果的に、おトクということもあります。
一方で、費用をとにかく抑えたい場合は、安価な塗料が良いでしょう。
例えば、取り壊しが決まっている建物や、また何年かごとに外壁の色をに変えたいという方には、コストが低く、耐用年数も短めな塗料が良いでしょう。
反対に、高価な塗料を選んでしまうと、初期費用が高くつく上に、コストを回収できず、損をしてしまいます。
ただ価格の高い塗料を使えばいいわけではなく、費用やメンテナンス頻度などを考慮して、最も適した塗料を選ぶことがポイントになります。
まとめ
業者によって、得意としている塗料や提案内容も異なります。
また、外壁の状況や塗装の目的によって、塗料の選ぶポイントが変わってくるでしょう。
少しでも悩む場合には、業者に相談し、しっかりと比較し検討しましょう。